「風をつかまえた少年」 に潜む危険性!~青年海外協力隊による実体験~
私のマラウイ時代のことを、思い出しながら書きました。
日本で現在、公開されている『風をつかまえた少年』、この物語はとても有名で日本では英語の教科書でも紹介されています。
「生きる」とは、「学ぶ」ことだ!
そう伝えてくれる、ウィリアム・カムクワンバは本当に素晴らしい!
だけど、この物語に潜む危険性を私の実体験を基に記事にしました。
1.協力隊時代の若き私
私が青年海外協力隊時代の時のことを紹介します。
私の生徒たちに、もっと勉強して理科の素晴らしさを理解して社会の役に立つことができるきっかけになればと思い「風をつかまえた少年」を紹介しました。
2016年9月、ちょうど1学期が始まったばかりの数日目のある日でした。マラウイ政府が先生たちへの給料未払いをしていたため、先生たちがストライキを起こしていました。
ということで、現地の先生は授業をしていません。
生徒も暇な時間を持て余してたので、代表の生徒に本を朗読して他の生徒は静かに聞くという機会を設けました。
こちらが当時の様子です。
ちなみに、この物語では生徒が学費を払えず退学していますが、マラウイの中等学校には本当に学費が払うことができず退学していく生徒が多いのは事実です。
私も以下のように、4年間の在籍者数を調べて退学者を割り出しました。そのほとんどが、学費を理由に退学します。マラウイでは退学は特別なことではありません。
2.生徒の反応
多くの生徒は非常に、「風をつかまえた少年」の物語に共感してくれました。
(生徒数約60人)
私も若かったので、”私はなんといいことをしたのだろう、生徒もやる気になるだろう”と考えていました。
ところが、ある一人の生徒が、「マラウイで成功することは、誰かがお金を貸してとやってくることだよ。だから僕は成功したら、その成功を隠すんだ。」と一言。
続けて生徒は私に言いました。
「僕はよりよい明日を求めて、一生懸命勉強するけど、誰かに妬まれたくない。マダム(私のこと)の国と僕たち(マラウイ)の国は違うんだよ。」
私は思わず返事ができませんでした。
マラウイではいい話ほど人には教えたくないそうで、いいと思われる話を教えるとねたみ・ひがみを引き起こすようです、、。。マラウイ社会は嫉妬心で渦巻いています。
まだ、若かった理科教育隊員の私には衝撃的でした。
自分の教える知識は、マラウイの生徒たちがマラウイ社会を発展させることに貢献することには使われないように感じてしまいました、、、。
愕然
3.本人がアメリカに留学した
私がこの物語を生徒に紹介したとき、生徒たちが注目したのは主人公が最後、アメリカにいることでした。
生徒にとって新しいものを発明することより、アメリカに行って安穏と国外にいるほうがよいと思わせてしまうのがこの物語のようです。
日本人が好むコツコツ努力より、マラウイの生徒は一攫千金的な発想を好む傾向があります。ほとんどがそういった生徒でしたが、中には絶え間ない努力をして勉強している生徒もいました。
「学ぶことは、貧困からの脱出策」。
多くの知識を得ることで、国内よりも国外に目を向けてしまうのだろうかと私は感じてしまいました。
当時はやる気をなくしましたが、そこからこの国の生徒たちに心に響く教育をしようとそのあと、私は立ちあがりました。
最後までお読みいただいてありがとうございます。